【展】原安三郎コレクション 広重ビビッド展@サントリー美術館
学芸員DJのDJAIKO62です。東京&関西を中心に開催中の特別展・アート展・美術展のレビューを書かせていただいています。いつもご覧いただきありがとうございます。
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今日ご紹介するのは、「原安三郎コレクション 広重VIVID展」です。
東京の六本木、ミッドタウン内にあるサントリー美術館で2016年4月29日から6月12日まで開催中です。
浮世絵の歌川広重
もちろん名前も絵もどこかで見たことはあるんじゃないかなと思います。
その中でも特に有名なのが最晩年の大作、東京江戸の有名な風景をを描いた「名所江戸百景」。そして、日本全国の名所を描いた「六十余州名所図会」。広重が生きていた時代にも大変人気があったといいます。
その中でも特に有名なのが最晩年の大作、東京江戸の有名な風景をを描いた「名所江戸百景」。そして、日本全国の名所を描いた「六十余州名所図会」。広重が生きていた時代にも大変人気があったといいます。
今回の特別展のすごさとは
特別展のタイトルにもある「広重ヴィヴィッド」この”ヴィヴィッド”にキーワードがあります。
人気がある作品やシリーズというのは、今でいう本の増刷のように、「後摺」といって、少し色や細かい部分を簡略して大量に刷れるようにしたものが作られたんだそうです。でも今回特別展で見ることができるのはとっても貴重な「初摺」と言われるものの中でも早い時期のもの。江戸百景なんかは国内外に4セット程しか存在しないというものです。
この初摺というのは、板木が完成した後に、浮世絵師と板元が立ち合って刷る200枚ほ どのことで、より広重が思い描いたオリジナルに近い色彩が表現されています。一番人気の浮世絵師ですから、彫師も摺師も超一流、一番美しい状態の作品と言えるでしょう。それが一所に勢ぞろいするわけですからどれだけすごいことか。原安三郎さんのコレクションは生前はほとんど公開される機会が無かったそうなので、保存状態も良く、色のみずみずしさをぜひ見てほしいと学芸員の方も話しておられました。
ユニークな試み
六十四州名所図会は、多くの作品で学芸員の方々が手分けして実際に現地に赴き、現在の風景を写した写真が説明文と一緒にあるんです!「当時はこんな感じだったのかな?広重はこんな風に強調したかったのかな?」と浮世絵と見比べてみたり、初刷と後摺の比較が出来る試み(浅草の風景です)、また、初刷ならではのうっかりミスなども見どころです。
他にも当時広重よりも前から人気浮世絵師として活躍していた葛飾北斎の幻のシリーズ「千絵の海」が10図揃いで、
最近とても人気が高い歌川国芳の作品も出品されています。
私が内覧会で見た時は約170ほどの作品がありましたが、2時間あっても本当に足りないくらいでした(^_^;)。雪景色の美しい「壱岐」の風景や、「狐火」の幻想的な様子には何度も引き返して見入ってしまいました。後期ももう一度伺って名所江戸百景の残り半分も必ずや見ておきたいなと思っています。
六十四州名所図会が会期を通してすべてみられること、また、前期後期とわけて半分ずつ名所江戸百景が楽しめる機会というのは間違いなくレアすぎる機会です。
※ 展示室内の写真はすべて内覧会時に特別に許可をいただいて撮影したものです。
DJAIKO62
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