速水御舟の全貌-日本画の破壊と創造-@山種美術館
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東京・恵比寿から歩いて15分程でしょうか、お気に入りの美術館の一つ、山種美術館で2016年10月8日から開催の特別展「水御舟の全貌-日本画の破壊と創造-」の内覧会へ行ってきました。
アート初心者にもやさしい美術館だと以前からおすすめしていますが、今回は山種美術館が所蔵する120点の御舟作品から選りすぐった56点に、各時期の代表作25点を加えた81点が展示されています。こういった御舟の集大成ともいえる代表作品が一度に会するのは23年ぶりのことだそう。
挑戦を繰り返す努力の人
御舟が残した言葉に「梯子の頂上に上る勇気は貴い、さらにそこから降りて来て、再び上り返す勇気を持つものはさらに貴い」というものがあります。絵の世界での成功は、「この人ならこういう絵」というスタイルなり画風なりが成功とともに周知されるわけで、わざわざそのスタイルを一度置いて、新たなものに挑戦するというのは大きな勇気がいるものではないかと想像しますし御舟の言うように「貴い」こととと思います。それは御舟の師匠でもある今村紫紅の「粉本によった技巧は技巧にあらず」という考えにも大きく影響を受けたのでしょう。お手本をまねして高めていくだけではない、自分だけの技術やスタイルを生み出して、さらにそれに固執しないというのはなかなか簡単なことではありません、とてもストイックだと思います。
みどころ
重要文化財「炎舞」と「名樹散椿」の7年ぶりの同時公開。ともに山種美術館の所蔵ですが、どちらも特別展のメインともなりうる印象的な作品。炎舞は前回展示があった時と同じ展示室、同じ場所に展示されています。照明を極力おさえた空間、本当にまるでそこに舞い立つ炎があるようにも思えます。御舟が「同じ色を出せと言われても二度と出せない」と言ったというその炎の色にも注目です。
絶筆となった「円かなる月」、「樹木」、「名樹散椿」、「花の傍ら」、「鍋島の皿に柘榴」、「木蓮(春園麗華)」などなど、印象に残った作品がたくさんありました。特に前期11月6日までの公開となる岡田美術館所蔵の「木蓮(春園麗華)」は妖艶な魅力がありました。下書きの段階では色がついていたそうです。
その時々で影響を受けた画風や作家などが違うんですが、御舟が自らに課した目標はいつも高く、相当厳しく取り組んでいたことも完成された絵からうかがい知れます。40年という短い一生の中で残した作品たちがこれだけ所蔵されているのも山種美術館の創立者でもある山﨑種二さんの御舟作品への強い思い入れから。「御舟美術館」としても親しまれている場所で、速水御舟という一人の作家の足跡をじっくりとたどってみてはいかがでしょうか?
もちろん、鑑賞後はお楽しみの和菓子でひとやすみもぜひ!
公式サイトはこちらから→【http://www.yamatane-museum.jp/】
速水御舟の全貌-日本画の破壊と創造
2016年10月8日~12月4日
山種美術館
DJAIKO62(学芸員DJ)
2016年4月よりαステーションFM京都にて生放送担当中!月&火曜の16時~18時、Kyoto Air Loungeです。radikoプレミアムで全国からお聴きいただけます♪
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