【展】ティツィアーノとヴェネツィア展@東京都美術館
学芸員DJのDJAIKO62です。東京&関西を中心に開催中の特別展・アート展・美術展のレビューを書かせていただいています。いつもご覧いただきありがとうございます。
日伊国交樹立150周年記念「ティツィアーノとヴェネツィア展」へ行ってきました。
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「フローラ」が見たい。
イタリアの絵画…というとパッと宗教画を思い浮かべる方も多いと思います。私も少しカラーもトーンも重厚なものを想像して出かけました。なので、ヴェネツィア派ってこんなに明るい色彩で、柔らかな光がさしているんだなぁと勉強にもなりました。
恥ずかしながらティツィアーノは名前を聞いたことがあるという程度の知識だったので、まず実際の絵と対面するところからの衝撃ったらありませんでした。
ポスターでもうかがい知れる「フローラ」の美しさ。この世のものではないくらいの神々しさまとった女神像を、生身の女性をモデルとした絵として表現するとなると、どんな試みをするんでしょうか。色彩のセンスはもちろん、繊細に輝く毛髪、胸元が片方だけ大きくあいた白い衣のひだの一つ一つ、衣とのコントラストも美しい赤いマント、そして人物そのもののスムーズな肌に血色…とどこ一つとって隙がありません。この作品を描いたのが25歳ごろ、それから28年後にローマでミケランジェロ(その時70歳)と会っているのですが、ティツィアーノの絵を褒めたものの、後で「彼はデッサンができていない」と話したとか。フィレンツェ派ミケランジェロがヴェネツィア派のティツィアーノをライバルとして厳しく評したエピソードだそうです。
ティツィアーノは16世紀のイタリアで最高のアーティストともいわれました。神聖ローマ法王カール5世やスペイン王フェリペ2世、そして今展でも見られるローマ教皇のパウルス3世といった時の権力者や王族貴族にも愛されパトロンとして創作活動の支援を受けていました。本当に芸術には理解のあるパトロンの存在って大きいですよね。
尊敬や感謝の念も、「パウルス3世」の絵からは感じられると思います。「フローラ」と並んで、存在感は群を抜き、威厳のある姿にしびれます。
また、初来日となる「ダナエ」も必見。
今のように写真や図録がない時代は、ティツィアーノの絵を模写する人が後を絶たなかったそうです。たとえばルーベンス、ベラスケス、エルグレコはティツィアーノを真似て学び、印象派のモネ、マネ、セザンヌはフローラを模写して学んだといいます。ルノワールもあこがれた存在だったそう。今、日本でもよく知られている作家のお手本となったその技術や色彩、雰囲気、光を目の前で鑑賞できる機会はそう無いと思います。ぜひ上野へ足をお運びください。
2017年1月21日~4月2日まで
今回のオーディオガイドは俳優の別所哲也さん。心地よいナレーションでした。私もいつかオーディオガイドを読むのが夢です。
※ 展示室内の写真はすべて内覧会時に特別に許可をいただいて撮影したものです。 直リンクや転用は出来ません。
DJAIKO62(学芸員DJ)
2016年4月よりαステーションFM京都にて生放送担当中!月&火曜の16時~18時、Kyoto Air Loungeです。radikoプレミアムで全国からお聴きいただけます♪
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