DJAIKO62のアート噺

東京都内&京都の美術館で開催中の特別展・アート展について、インスタ記事としてあげたものをまとめています。

【展】オルセーのナビ派展@三菱一号館美術館

 

学芸員DJのDJAIKO62です。

都内の美術館を中心に、たまに京都の特別展にもふらりと訪れ、レビューを書かせてもらっています。

 

今回は私も大好き、三菱一号館美術館で2017年2月4日から開催の特別展「美の預言者たち-ささやきとざわめき オルセーのナビ派展」のご紹介です。

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絵の印象から受けるのは「やさしさ、親しみやすさ、見る人の興味を引く素直な表情やドラマ、色彩や装飾性の高さ」など、普段から絵をよくご覧になっている人はもちろん、アート以外のもの、たとえばインテリアや洋服、広く言えばクラシック映画などを見ていてハッとするようなセンスの良さを実感したことがある人なら、ナビ派というのは結構すんなりと入っていける作家さん達じゃないかなと思います。

記憶に新しいところでいうと、同じく三菱一号館美術館で2014年に開催された「【展】Felix Vallotton Le feu sous la glace ヴァロットン 冷たい炎の画家展@三菱一号館美術館」が思い出されますが、ヴァロットンもナビ派の一人です。

ナビ派とは、もともとヘブライ語でNeviim=預言者を意味する「ナビ」からとったもの。1880年代末のパリで、画塾アカデミージュリアンで出会った若き画家たち集い、前衛的な活動を行いました。中心人物として名が挙がるのがボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットンら。ゴーガンから影響を受けています。画家たちが自らを預言者として位置付けながらもこの革命はパリの芸術界にさざ波のように広がりと見せて言ったといいます。

 

 

6章のナビ派を知る旅

第一章はナビ派の師ともいえるゴーガンを中心に。

庭の女性たち、親密さの詩情、心のうちの言葉、子ども時代、裏側の世界と6つの章をじっくりと鑑賞し進みながら、心地のいいナビ派の旅を体感しているような感覚でした。

私が特に心踊ったのは第2章の庭の女性たちにあるマイヨールの「女性の横顔」

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ピエール・ボナールの連作「庭の女性たち」白い水玉模様の服を着た女性、猫と座る女性、ショルダー・ケープを着た女性、格子柄の服を着た女性/1890-91/オルセー美術館

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↑第4章、エドゥアール・ヴュイヤールの八角形の自画像」/1890年ごろ/オルセー美術館

第5章、ヴァロットンの「ボール」でしょうか。

ヴァロットンのボールは前回のヴァロットン展でも印象に残った作品。ざわざわとした「不安」を絵に感じつつも、奔放にボールを追いかける子どもの様子、遠くで話す大人との距離、絵全体の平穏と不穏に妙な魅力を感じたものでした。再びオルセーからお出ましなのがとっても嬉しかったです。

 

ナビ派と日本のつながりについて。

監修者、オルセー美術館絵画部門主学芸員のイザベルさんは、ナビ派が1890年にパリの国立美術学校で開催された博覧会で見た浮世絵に大きな影響を受けているといいます。輪郭線と面、奥行きのない平面的ない表現は浮世絵から着想を得たそうです。また、鮮やかな色彩や子供が主人公となった世界観は日本発の「かわいい」にも通ずるとまで。

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オルセー美術館オランジュリー美術館の総裁でもあり、今展の総監修者でもあるギ・コジュヴァルさんはナビ派スペシャリスト(↑写真中央、(左)三菱一号館美術館館長高橋明也さん、(右)オルセー美術館絵画部門主学芸員のイザベル・カーンさん)彼のいるオルセー美術館には多くのすぐれたナビ派のコレクションが近年集まるようになりました。「今までフランスでもナビ派だけで大きな注目を浴びることはなかったが、今回それが日本でかなったこと。また、オルセーで見るよりも三菱一号館美術館という箱が持つ独特の親密さ、スケールのコンパクトさは、作品たちにぴったりと合うのではないか。」とお話しされていました。世界的に見てもナビ派というテーマで、これだけの規模で本格的に紹介されるのは三菱一号館美術館が初めての事。約70点がまとめてオルセーからやってくるという貴重な機会なんです。

 

ナビ派、美術界の預言者として当時のシーンを牽引したアーティストたちの作品たち、見ておくべき!だと思います。

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ナビ派の誰派?にもぜひ参加を!私はやっぱりヴァロットン~♪

  

お土産も。

内覧会ではギフトショップのラインナップもお披露目されます。ポストカード、今回はなんと塗り絵付き!

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「これらの木々がどのように見えるかね?黄色だね。では、黄色で塗りたまえ。」というゴーガンの教えをうけ、思うままの色を選んだポール・セリュジエ。そのナビ派の始まりにヒントを得たというこのポストカード、「これを塗ればあなたもナビ派の仲間入り」というキャッチにひかれて私も何枚か買い求めました(買ったものは写真には写り込んでいないのですが…。)ヴァロットンが好きなので、完璧ともいえるモノクロームの世界をどう塗ろうかな?とワクワクと想像を膨らませています(^-^)そのうちまたインスタ(https://www.instagram.com/djaiko62/)でアップしようかなーと思っています☆みなさんもぜひナビ派に!

 

オルセーのナビ派展 美の預言者たち-ささやきとざわめき

2017年2月4日~5月21日

三菱一号館美術館http://mimt.jp/

 

 

DJAIKO62(学芸員DJ)

2016年4月よりαステーションFM京都にて生放送担当中!月&火曜の16時~18時、Kyoto Air Loungeです。radikoプレミアムで全国からお聴きいただけます♪

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