DJAIKO62のアート噺

東京都内&京都の美術館で開催中の特別展・アート展について、インスタ記事としてあげたものをまとめています。

【展】逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし展@サントリー美術館

学芸員DJのDJAIKO62です。

 

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好きでしたー!なんとも癒されます。

今回の特別展もタイトルのインパクトと工夫にくすぐられます。

内覧会にお伺いした時も、

「久隅守景展、ではないんです。逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし展 です!」

とおっしゃっておられたように、

一人の才能ある画家のご苦労をまず知ってからこの特別展を見ると、

ちょっとした日常にある幸せ、隅々にまで注がれた優しさが

パッと伝わってくるんじゃないかなと思います。

 

 

お初にお目にかかります。

そもそもなんですが、久隅守景って聞いた事ありましたか?

私ははじめて聞く名前でした。結構見てきたんだけどなー(^_^;)。

しかも教科書に必ずと言っていいほど国宝の作品が載っているというね。

その絵もそんな印象には残ってなかったのですが、名前まではさらに憶えてないもんね。

この人、実は江戸時代を代表する絵師の一人。

あの狩野探幽のお弟子さんで、めきめきと頭角をあらわしました。

なんと探幽の姪をお嫁さんにもらい次世代の担い手と目されるまでになるんです。

ところが、娘は門下の一人と駆け落ちをし、

息子の彦十郎はいわゆる遊郭通いがやめられずに素行の悪さから結果佐渡へ島流し。

やんちゃ…よりもうちょっと手の付けられない感じなのでしょうか、

そんな子供たちの行いの責任を取って探幽のもとを離れざるをえなくなります。

 

 

とは言え、実力はお墨付きですから!

そうは問屋が卸さないのは江戸時代も現代も一緒。

狩野派という大看板や後ろ盾を失った守景は大変な苦労をしたそうです。

子供たちがもうちょっとお行儀よくしてくれていたら、

守景の名前ももうちょっと知れ渡っていたかもしれません。

でも同時に作風にも大きく影響したのかもと考えると、

晩年になって加賀藩前田家の招きを受け金沢でのびのびと代表作と呼ばれる作品を描けたのは

本人の努力や苦労が報われたという意味でも運命的なものだったのかも。

 

 

私が気になった作品は…結構多いのですが頑張って絞って4つ!

まずは…国宝の納涼図屏風。

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家族が軒下で涼んでいる何気ない幸せ。

ひょうたんの棚の下、ござをしいて家族が夕涼みをしているんですが、

なんとも私にはその何気ない日常がはかなげに思えて。

そう言った日常がとっても幸せなんだという守景の思いがにじんでいるように感じました。

 

2つ目はその傍らにあった夕顔棚納涼図!こちらは古澗明誉の作品。

上の納涼図屏風のテーマと同じ木下長嘯子の詠んだ和歌がテーマ

どちらかというと古澗明誉のほうが脱力系というかゆるくて(^_-)☆

かわいい~という声も聞こえました。私もかわいいと思う!

 

3つ目…3階に展示してある六曲一双の花鳥図屏風

こちらも見事です!

写真を撮る時のような構図にも通ずる(気がしました)季節の草花や鳥たち。

とくにミミズクさんの愛らしいこと!もう一度会いに行きたくなるくらい!

 

最後4つ目は鍋冠祭図押絵貼屏風です。

鍋冠祭とは、毎年5月3日の祭りの日に、

女性が情を交わした男性の数だけ鍋をかぶって参詣するという習わしだそう。(図録より)

数は嘘をつくと罰が当たるともされたんだって。

1人は鍋をいくつも重ねてかぶっていて、

口元しか見えないんだけど明らかにべっぴんさん。

もう1人のおかめちゃんは鍋を一つもかぶっていなくてね。

でもにこっとしていてどこかチャーミング。

こんなところにも守景のちょっとした優しさが感じられて良いなぁと思った作品でした。

 

 

この秋は本当にタイトルだけでもパッと興味をひかれるものが特別展として多いのが印象的。

でも、久隅守景という存在を「知る」機会としてとても貴重だと思いましたし、

あえて守景を見に行く選択、「いいぞ!」と私はめっちゃその背中を押したい。

疲れている人、元気のない人にもやさしい、あったかい作風だと思いました。

 

 

公式サイトは→【こちらから】クーポンもありますよ!

2015年10月10日-2015年11月29日までの開催です。

※写真はすべて内覧会時に許可を得て、ルールを守って撮影しています。

 

 

DJAIKO62

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